「つい強い口調になってしまう…」そんな毎日のモヤモヤに。
今日からできる“イライラしない声かけ”のコツを、介護現場の経験からお伝えします。
「もう…なんでわかってくれないの?」と思ってしまうとき
在宅介護や家族のケアに関わっていると、
何度言っても通じなかったり、思い通りにいかなかったり。
優しくしたいのに、つい声を荒げてしまう。
「ごはんはさっき食べたって言ったのに」
「その手順じゃダメって、何回言ったら…」
そう思ってから、自己嫌悪。
「また言いすぎてしまった…」
──この繰り返しで、心が疲れてしまっていませんか?
実は“声かけ”ひとつで、介護の空気が変わる
私は介護現場で10年以上働いてきました。
その中で学んだのは、「伝え方ひとつで、相手の反応が変わる」という事実です。
もちろん完璧な対応なんてできません。
でも、言葉を少し工夫するだけで、お互いのストレスが減った経験は何度もありました。
今日は、そんな現場で学んだ「イライラしにくい声かけ」のコツを、5つご紹介します。
イライラしない声かけテクニック5選
① 「もう!」を飲み込んで、「○○しましょうか?」
感情的に「またですか?」「何回言えば…」と言いたくなる場面。
そんなときこそ、
「一緒にやってみましょうか?」
「ゆっくりで大丈夫ですよ」
“共に”の姿勢を見せるだけで、相手の受け取り方が変わります。
② 命令ではなく「提案」の形で伝える
×「立ってください」
○「そろそろ立ち上がってみましょうか?」
“〜してください”と指示されると、
年齢を問わず「反発」や「拒否」が起きやすくなります。
あくまで“選んでもらう・同意してもらう”気持ちで、
語尾をやわらかくするだけでトラブルが減ります。
③ 「できていること」に目を向けて褒める
介護の中では、「できないこと」が目につきやすくなります。
でも実は、「まだできていること」にもたくさんの価値があります。
「今日はしっかり起きてくれましたね」
「手を動かせたの、すごいですね!」
“できたこと”に目を向けて声をかけると、本人も前向きになりやすいです。
④ 否定せずに“受け止めてから”切り替える
×「それ、さっき食べたでしょ!」
○「食べたけど、まだ食べたいくらいおいしかったですね」
認知症の方によくある“記憶のズレ”や“同じ質問の繰り返し”。
否定すると混乱や反発が起こりがちです。
まず気持ちを受け止めてから、ゆっくり切り替えていくのがコツです。
⑤ 無理に正そうとせず、5秒待ってみる
イライラしそうなときほど、
一呼吸おいて“5秒だけ黙る”ことを試してみてください。
無理にすぐ答えを出そうとせず、
→ 相手の表情や呼吸のペースに合わせて“余白”をつくる。
これだけで、言葉の衝突はかなり減ります。
NGワードとやさしい言い換え例
NGワード | 言い換えのヒント |
---|---|
「なんでできないの?」 | 「ゆっくりで大丈夫ですよ」 |
「前にも言ったでしょ」 | 「もう一度、一緒にやってみましょうか」 |
「ダメ!」 | 「それより、こっちの方が安心ですね」 |
「早くして」 | 「ゆっくりでいいので、○○しましょうか」 |
同じ内容でも、伝え方で“受け取り方”はまったく変わります。
自分に余裕がないときこそ、まず「自分」に声をかけて
優しい言葉をかけたいのに、
余裕がないとできないとき、ありますよね。
そんなときは、
まず自分に声をかけてあげてください。
「よくやってるよ、私」
「今ちょっと疲れてるだけ」
「完璧じゃなくても、大丈夫」
自分の気持ちを立て直すことで、
相手への言葉もやわらかくなります。
まとめ:あなたの声は、きっと誰かを安心させている
介護に正解はありません。
でも、今日の声かけひとつで、明日の空気が変わるかもしれません。
ついイライラしてしまった日も、
あとから優しい言葉に切り替えることはできます。
その一言が、相手を安心させ、あなた自身の気持ちも軽くしてくれます。
今日も誰かのために頑張っているあなたの声が、 あたたかく届きますように。
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